最後に、蕪村にインスピレーションを与えたのは、むしろこちらの方ではないかという意見が強くなっている、中国・明の詩人である李攀龍の七言律詩「宗子相を懐う」です。
晩秋見送る薊門[けいもん]で 仙人が乗るような船
この日酒樽開けながら 時の速さを感じてた
病に臥しても山中にゃ 桂の木々が生い茂り
君を思えば川面には 梅の花びら散るだろう
鴻[おおとり]雁が春くれば 手紙を運んで来るけれど
今夜高殿から見れば 雪家々に降り積もる
南国呉越の故郷[ふるさと]へ 独りで君は帰ってく
異郷に残る薄給の 官吏の俺が不憫だろ