2021年2月15日月曜日

『國華』蕪村拙稿2

安永7(1778)に始まる謝寅落款時代こそ、蕪村が独自の絵画世界を構築した時代です。早熟の天才池大雅に対して、晩成の天才蕪村を象徴するものこそ謝寅時代でした。その謝寅時代を代表するのは、いわゆる横物三部作です。つまり「峨嵋露頂図巻」および「夜色楼台図」、「富嶽列松図」です。蕪村がこの横物三部作を連作のような気持ちで制作したことは、疑いなきことのように思われます。

「峨嵋露頂図巻」の主題が、有名な李白の七言絶句「峨眉山月歌」から採られていることは、周知の事実です。蕪村はこれを『唐詩選』によったとみてよいでしょう。『唐詩選』を最も賞揚した詩人こそ、蕪村が学んだ服部南郭でした。


 

0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」7

今回は奥村土牛の傑作「醍醐」がポスターのメインイメージに選ばれ、目玉にもなっているので、とくに土牛芸術に力を入れてしゃべりました。もちろん大好きな画家でもあるからです。 遅咲きの画家といわれる土牛は、一歩一歩着実に独自の土牛様式を創り上げていきました。人の真似できない真なる創造的...