それにちなんで、NHK文化センターから宗達筆「風神雷神図屏風」について講演してほしいというオファーを受けました。僕は宗達・光琳・抱一・其一という4点の風神雷神図を比較しながら、それぞれの魅力と琳派の図様継承について講演することにしました――まだ「口演」は使っていませんでした(笑) そして最後に、どの作品に一番惹かれるかアンケートを取ろうと考え、聴講者に挙手を求めました。
当然、宗達屏風だろうと思っていたのですが、驚いたことにもっとも多く手が挙がったのは鈴木其一の襖だったのです。伊藤若冲ブームに象徴されるがごとく、日本人の美的感性が大きく変化していることを実感させられた一瞬でした。