ご尊名は「摩阿」と申し上げます。普通ネコといえば、「チャン」をつけるか、呼び捨てにするものですが、彼女にはとてもおそれ多くて、できるもんじゃありません。「摩阿姫」とお呼びすることにしましょう。ところで「摩阿姫」といえば、戦国時代歴史ファンには、ピンとくるかもしれませんね。そうなんです!! のちには豊臣秀吉の側室となって、「加賀殿」と呼ばれることになる御方なんです。
上江洲家には、5匹のネコがいらっしゃるそうです。一番古参の茶トラがちょっと歌舞伎役者にも似ているので、「又左衛門利家」――通称「またざ」――と命名したことが機縁となって、2番目を正室の「松」、3番目を側室の「千代」、そして4番目をその三女「摩阿」と名づけたのでした。5番目は聞き漏らしましたが、もし姫ならもちろん四女の「豪」でしょうね。