④目には蚊を 耳には蝉を 飼っている
僕の大好きな文人画家に田能村竹田がいます。「饒舌館長」にも何回かアップした画家ですから、ご記憶のある方もいらっしゃるでしょう。この竹田が尊敬する伊藤鏡河と古田含章という人に宛てた手紙が思い出されます。竹田は「目は常に華を見て、飛蝿貫珠、咫尺の外は弁知すること能わず。耳また能く鳴り、隠々として声あり、時に大、時に小、雷の如く、蚊の如く、膿を出すこと、一日に両三次、或いは三四日に一次なり」と、自分の病気を耽美的に表現しています。まるでこの竹田を川柳に詠んだような一句ですね。もっとも竹田の場合、目には華と蝿、耳には蚊で、ちょっと違っていますが……。その結果、「耳遠く オレオレ詐欺も 困り果て」ということになって、わざわい転じて福となるわけですね。オレオレ詐欺といえば、名句「オレオレに 亭主と知って 電話切る」があります!!