2021年2月28日日曜日

『國華』蕪村拙稿12

最後に、蕪村にインスピレーションを与えたのは、むしろこちらの方ではないかという意見が強くなっている、中国・明の詩人である李攀龍の七言律詩「宗子相を懐う」です。

  晩秋見送る薊門[けいもん]で 仙人が乗るような船 

この日酒樽開けながら 時の速さを感じてた 

病に臥しても山中にゃ 桂の木々が生い茂り 

君を思えば川面には 梅の花びら散るだろう 

[おおとり]雁が春くれば 手紙を運んで来るけれど 

今夜高殿から見れば 雪家々に降り積もる 

南国呉越の故郷[ふるさと]へ 独りで君は帰ってく 

  異郷に残る薄給の 官吏の俺が不憫だろ 

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