東京都美術館「不屈の情熱の軌跡 田中一村展 奄美の光 魂の絵画」<12月1日まで>
千葉市美術館「特集 田中一村と千葉」<10月9日~12月1日>
一村は生前まったく無名の存在でしたが、作品に魅了された人々により没後に顕彰の動きが生まれ、その名が知られるようになった画家です。本展覧会は神童と称された幼年期から終焉の地である奄美大島での最晩年まで、一村の作品をあますところなく紹介するこれまでにない大回顧展です。第1章若き南画家「田中米邨」東京時代、第2章千葉時代「一村」誕生、第3章己の道奄美への3部構成により、一様ではなかった彼の制作の道筋を辿ります。
将来を楽しみにされながらも、世俗的な栄達とは無縁であった人生において、常に全身全霊を傾けて描くことを体現した一村の歩みは、不屈の情熱の軌跡ともいえるものでした。自然を主題とする澄んだ光にみちた絵画はその情熱の結晶であり、静謐な雰囲気の内に、魂の輝きをも宿しているかのようです。