次にこれもまた参考にされたと推定されてきた、同じく『江陵詩集』に載る七言律詩「中秋含虚亭の作」です。
青い葭葦[よしあし]その上に 白露[しらつゆ]降りる江戸の町
川面に靄が立ち込めて 揺れ動いてる月明り
夜目にも映える高殿は 仏を祭るお寺さん
簫[しょう]鼓[つづみ]の音秋風に 乗り家々に流れてく
涼しくなってこの世界 すべてがまるで水のよう
叢雲[むらくも]去った大空は 隈なき月光ほかになし
残暑も終りこの娑婆は 物寂しい世になったけど
そこにも悟りの道三つ あること論じるまでもなし
この対角線構図が、騒乱状態にあるような画面にしっかりとしたバックボーンを与え、一種の統一感へと見るもの視線と感覚を導くのです。そして重要なのは、この対角線構図が先の異時同図法と分かちがたく結合している点です。主要モチーフが描かれる三角部分の反対側が、時を異にする副次的モチーフのた...
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