高山接碧海 高き山すそ野は続く青海へ
居処坐書城 居る部屋は牛汗充棟そこに座す
翰墨生花筆 翰[ふで]と墨生み出すみごとなカリグラフィー
教席鶴髪童 教壇に立つは鶴髪童顔の……
授知得快著 授ける知さらにすぐれた本を書く
栄辱釈迷津 栄[は]えも毀[き]も乗り越え迷界解き明かす
休退身猶健 休退というけど体はなお壮健
賛君脚不停 賛[たた]えたい君の歩みの止まぬこと
「唐絵」のもっとも重要な一ジャンルに「詩画軸」があります。かつて僕は美術雑誌『月刊 水墨画』に「河野元昭が選ぶ水墨画 50 選」という連載を続けたことがあります。そのとき現在遺っている詩画軸のなかで、制作年代の確定できる最初の作品「柴門新月図」(藤田美術館蔵)を取り上げ、詩...