辻惟雄さんが指摘する「奇想」の極致だといっても過言じゃ~ないでしょう。いくら江戸絵画には「奇想の系譜」が脈々と息づいていたといっても、こんな奇想を思いつく画家は、若冲をおいてほかにいるはずがありません。少なくとも最初のアイディアマン、升目描きのパイオニアが伊藤若冲であったことは、否定できない事実です。
この「鳥獣花木図屏風」や、今や国宝になった「動植綵絵」(皇居三の丸尚蔵館蔵)に、山川草木悉皆成仏とか、草木国土悉皆成仏とかいわれる仏教思想が反映していることもすでに指摘されるところです。これまた否定できない事実ですが、若冲が相国寺の大典和尚から教えを受けて心を寄せ、とても大きな影響を受けた臨済禅や黄檗禅から、より一層直接的に解釈することもできるというのが私見です。
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