2024年9月14日土曜日

出光美術館「物、ものを呼ぶ」4

 

しかし独創とはいっても、何かヒントになったオリジンがあるのではないか――と美術史研究者は考えるものなんです。探究心が旺盛というか、猜疑心が強いというか、はたまた職業病というか……() 

カタログには、西陣織のための織物図案という説があげられています。そのほかにはペルシア絨毯や、槿域の剪紙工芸に先蹤を求める説が提示されてきました。とくにペルシア絨毯説は、普通なら屏風の表装にあたる縁へりの模様と、ペルシア絨毯の縁取り模様との近似に注目しています。

この屏風では縁が石灯籠の連続模様みたいに見えますが、じつはこれも升目描きになっているんです。鳥獣花木が何となく異国風に見える点を含めて、僕はペルシア絨毯説に一票を投じたいと思っています。


0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館「物、ものを呼ぶ」19

  もっともヤバイ !! と思ったのは、右隻の浅草寺参道あたりに描かれる三十三間堂の建築年代です。完成したのは寛永 20 年( 1643 )、家光の命を受けて 4 月に射初めの儀式が執り行われたというのです。 となると、この「江戸名所図屏風」が制作されたのは、寛永 20 年以...