しかし『広辞苑』には、「清明祭[せいめいさい]」という行事が立項されていて、「沖縄地方で、旧暦三月の清明節に一族そろって祖先の墓参りをする行事。士族の間で中国伝来の行事として始まったとされる。御清明<ウシーミー>」と説明されています。それは沖縄と中国との文化的結びつきを物語っているようにも感じられます。
美術史的には、清明節でにぎわう北宋の首都・汴京[べんきょう]――いまの開封の風俗を描いた張択端の「清明上河図巻」がよく知られていますね。
それからもう一つ、思い出されるのは晩唐の詩人・杜牧の名吟「清明」でしょう。連夜妓楼に流連したという、イケメンの風流才子・杜牧の面目躍如たるものがある一首ですが、「江南春絶句」や「秦淮に泊す」や「山行」など、分かりやすくて浪漫性に富むところ、とくに日本人好みの感じがします。
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