2020年4月13日月曜日

追悼 大林宣彦さん2



みんながよく知っている錚々たる方々に混じって、何か申し訳ないような気持ちで、出勤簿に判子を捺していました。しかし、大林さんは名誉教授ですし、寧日なき毎日ですから、僕のようなチャッチー授業を毎週するわけではありません。

ワン・セメスターに何回か、撮影現場に学生を連れて行って、直接に教え指導するのです。ナマの映画体験をさせるのです。その教育効果たるや、筆舌に尽くし難きものがあったはずです。僕も一度参加させてもらおうと思いながら、そのままになってしまいましたが、一年に一度お会いする機会が巡ってきました。

卒論発表の日にいらして、指導学生のプレゼンテーションを聞き、講評を述べられるからです。僕は、あぁこれが「時をかける少女」の大林監督なんだと、お顔を眺めながら聴いていました。映画監督という仕事に憧れながら、実際にお会いすることができた映画監督は、大林さんと吉田喜重さんのお二人だけです。あの時、上福岡のキャンパスで大林さんとご一緒できたことは、生涯僕の誇りです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京都美術館「田中一村展」12

  いまだ原文にあたるチャンスがなく、湯原かの子さんの『絵のなかの魂 評伝・田中一村』<新潮選書>(新潮社  2006 年)から引用して、このエントリーを締めくくることにしましょう。といいつつ、もうチョット続きますが……。 朝と夕に訪れる、昼と夜のはざま、暗から明に、明から暗...