この狩場明神に導かれた弘法大師が、紀伊国境を流れる吉野川のあたりにたどり着いたとき出現したのが丹生明神です。丹生明神はその山域の地主神で、大師に高野の地を示して差し出したと弘法大師伝に書かれているそうです。
丹生明神はイザナギとイザナミの娘ともされる女神ですが、本図では十二単に身を包み、上畳に安座する王朝貴族の女性を髣髴とさせる姿に描かれています。豊頬長頤ほうきょうちょういを特徴とする又兵衛美人のプロトタイプみたいに見えますが、神様なんです!!
その頭上には狩場明神と同じく円窓があって、蓮華の上に胎蔵界大日如来の種子が書かれています。明らかに神仏混淆の垂迹的観念によるところで、両明神の本地仏が金剛界と胎蔵界の大日如来とされているわけです。

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