2019年11月13日水曜日

東洋文庫「東洋文庫の北斎展」2


勝川春章のもとに入門した翌年に、「春朗」の号で役者絵を描いてデビューしたとされる北斎。本書はそれから約2年後に「是和斎」という号を用いた北斎が文章と絵の両方を手がけたとされる、お家騒動ものの黄表紙です。しかし、是和斎と北斎が同一人物であるとする説はいくつかの文献で見られるものの、その根拠は明らかになっていません。年代としては、その後の多彩な活躍の片鱗を早くもうかがわせる作例といえますが……果たしてどうでしょうか。

 そこで帰宅後、僕は永田生慈さん畢生の著書『葛飾北斎年譜』(三彩新社 1985)を書架から出してきて、天明元年の条を開いてみました。今年亡くなられた北斎研究家・永田生慈さんについては、なつかしい想い出をこの「饒舌館長」にもアップしたことがありますね。

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