C勅使河原純『菱田春草とその時代』(六芸書房 1982)
そこへ提出されたのが、春草の「寡婦と孤児」であったのだ。少なからず世を憚る、戦争批判の臭いをもったこの作品に対して、岡倉校長は躊躇なく優等第一席の評価を下した。いわゆる戦争画、それも血の流れている場面などを特に喜んだといわれる一般の趣味とは、およそ対照的な態度である。岡倉は決して戦争画を認めず、弟子達にも描くことを許さなかった。この点で彼の立場は一貫し、生涯決して揺れることはなかった。
今回は奥村土牛の傑作「醍醐」がポスターのメインイメージに選ばれ、目玉にもなっているので、とくに土牛芸術に力を入れてしゃべりました。もちろん大好きな画家でもあるからです。 遅咲きの画家といわれる土牛は、一歩一歩着実に独自の土牛様式を創り上げていきました。人の真似できない真なる創造的...
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