2019年5月21日火曜日

三菱一号館美術館「ラファエル前派の軌跡展」5


この広範なテーマを扱った全5巻からなる大著(『現代画家論』)の出発点は、大胆な筆遣いの新たな表現で物議を醸していたターナーの擁護論にありました。ターナーの作品のなかで、とりわけラスキンが考察したのは、版画集『研鑽の書』に収められた作品群と水彩画です。かれ自身、生まれながらの素描家であり、自然界をあらゆる角度から知るための手段として、素描を位置づけていました。すなわち、ラスキンは、素描に取り組むときこそ、自身が興味深いと感じるすべての事象をさらに深く熟視できることに、実体験を通して気づいていたのです。

ラスキンもすぐれた素描家であったことを、出陳されていた水彩画「ヴィルヌーヴの山々」(ラスキン財団蔵)や「ラ・フォリの滝」(バーミンガム美術館蔵)によって、はじめて知らされました。

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