「差出し」とは、電気のない時代に用いた花道の俳優を照らすための照明用具です。角形の燭台に長い柄をつけたもので、二人の後見が前後から差し出して照らしました。「面明つらあかり」ともいい、現代でも古風な演出には使われます。かつて何かで見た記憶はありますが、以上は平凡社版『歌舞伎事典』によって書きました。
初代嵐冠十郎が右手で捧げるのはナデシコです。しかしチョッとみると、打ち上げられた花火のようでしょう。両国の花火を本当の花で表現した洒落になっているんです。花火の見立てといってもよいでしょうが、ナデシコの栽培が当時流行っていたこととも無関係ではないように思われます。愛用する麓次郎『四季の花事典』(八坂書房)のイセナデシコの項には、つぎのように書かれています。

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