2025年1月16日木曜日

サントリー美術館「儒教のかたち」10

一方、葬送儀礼についても我が国に大きな影響を与えた中国や槿域(朝鮮)では、殉死や殉葬が確実に行なわれていました。これまた『古墳と埴輪』が教えてくれるところです。内藤湖南にしたがって、当時日本に「忠」の思想がなかったか、あるいはあっても希薄であったことに、その理由を求めることができそうな気もします。

また『古墳と埴輪』は、この「儒教のかたち こころの鑑」展を鑑賞する際の興味深いヒントも与えてくれるようです。和田晴吾さんは古墳時代中期中葉の人物・動物埴輪による表現が、他界の屋敷における生活の再現であると考えるのですが、それは父系イデオロギーに基づく男性優位の支配者が営む生活であるというのです。

これは『日本書紀』によると応神天皇16年、百済くだらから王仁わにが渡来し『論語』等を伝えたという話を思い起こさせる――つまり無関係ではないだろうという指摘です。ここで「儒教のかたち」展と「はにわ」展が一気に結びつくことになります。チョッと無理やりだったかな()

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

葉室麟『古都再見』1

 葉室麟『古都再見』(新潮社  2017 年)  前回、渡部英喜さんの『漢詩花ごよみ』から春草を詠んだ絶唱を連載したとき、後花園天皇の七言絶句を引用し、葉室麟さんの見立てもアップしました。ついでにというのも失礼ながら、『古都再見』を通読し終わったところです。通読したというのは...