2022年3月6日日曜日

原在明のネコ絵2

 

原派は原在中が開いた京都画派の一つで、岸派などとともに、円山四条派を中心とする京都画壇の一翼を担いました。長男の在正が、なぜか父在中の勘気に触れて別居したため、在明がその跡を継ぐことになったそうです。画技は父在中から学び、宮廷や公家社会を中心に活躍しました。花鳥図や有職図などの画題をもっとも得意としました。

可愛らしいネコのフォルムと毛描きには、当時人気を集めていた写生風が強く打ち出されています。その平明な画風は、成熟した京都市民社会をよく反映しているように思います。ネコは在明が得意とする画題であったらしく、寛政8(1796)秋の東山新書画展観に「猫図」が出品されています。画家が覇を競う東山新書画展にネコ絵を出品した在明にとって、自負するところ大なるモチーフであったにちがいありません。

0 件のコメント:

コメントを投稿

鎌倉国宝館「扇影衣香」9

  先日、 鏑木清方記念美術館の「あの人に会える! 清方の代表作<築地明石町>三部作」展で井手誠之輔 さん にお会いしたことをアップしました。その井手さんが、この「扇影衣香」展カタログに、「総論 絵から見た鎌倉の美術と東アジア世界――人と仏――」という巻頭論文を寄稿しています。 ...