2025年4月3日木曜日

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」2

桜は植物分類学上バラ科に属するそうですが、ちょっと不思議な感じがします。新渡戸稲造の名言「薔薇ばらに対するヨーロッパ人の讃美を、我々は分かつことをえない。薔薇は桜の単純さを欠いている」を思い出すからです。このすぐれた思想家が、マギャクの美しさと見なした薔薇と桜が同じ科に属する花であったとは、お釈迦様でもご存じないのではないでしょうか。

『万葉集』には桜を詠んだ歌が45首も収められているそうですが、梅の119首に比べるとぐっと少ないのです。これは唐文化とともにもたらされた梅に、当時の律令官僚たちが魅了されたためでした。そのような観梅の宴が大伴旅人によって開かれなかったら、「令和」という年号も生まれなかったことになります。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』2

 本邦初の辞典がここに誕生したんです。しかも日本語のあとに、すぐれた英訳がついているから便利です。便利なだけじゃ~ありません。日本語と英語における視覚文化へのアプローチが意外に異なっていることが浮彫りになり、おのずとわが国視覚文化の特質といった問題へ導かれることになります。この質...