2025年1月14日火曜日

揖斐高『江戸漢詩の情景』7

 

 かつて陸游のネコ詩が知りたくて買った『陸游集』(中華書局)からも、一首抜いておきましょう。巻17に載る「題斎壁 四首」のうちの一首です。「秧馬おうば」は田を耕す時これに乗って使う農具だそうです。これは夏の詩ですので、正月凧詩の最後にはあまりふさわしくなかったかな()

  会稽山かいけいざんは千歳ちとせ経て 今なお緑 美しく

  山の下には浮かんでる 釣り船 一艘 見つけたり

  五月の川水おだやかに 岸に生えてる香り草

  手に取れそうな鱗雲うろこぐも 夕日に染まる大空よ

  村長むらおさ追って出かけると 秧馬の農夫をながめてる

  子どもを連れて帰り来て 一緒に凧揚げ興じてる

  君よ見たまえ!!この漁夫の ストレス絶無の生活を

  だから言ってはなりませぬ 「世に仙人などいやせん」と!!


0 件のコメント:

コメントを投稿

『漢詩花ごよみ』春9

  款冬花(蕗の薹 ふきのとう )――中唐・張籍「賈島に逢う」 遊楽原の青龍寺 たまたま見つけたフキノトウ   寺 出て漢詩を口ずさみ 歩めば沈む夕日かげ   都大路を一面に 白く染めたり名残り雪   馬蹄 ばてい パカパカここを去り どっかの飲み屋に繰り込もう ...