2024年11月18日月曜日

追悼 高階秀爾先生13

しかしこれは五味さんをはじめ、皆さんの興味をあまり引きませんでした。むしろ資料にあげただけにもかかわらず、柳田國男「日本の祭」から抜いた一節の方がウケたようです。これこそ我らが祭りのキモだと思って引用したのですが、総合司会の大高保二郎さんがとくに取り上げてくれたので、「ヤッター」という気持ちになりました()

日本の祭の最も重要な変り目は何だったか。一言でいうと見物と称する群の発生、即ち祭の参加者の中に、信仰を共にせざる人々、言わばただ審美的の立場から、この行事を観察する者の現われたことであろう。それが都会の生活を花やかにもすれば、我々の幼い日の記念を楽しくもしたと共に、神社を中核とした信仰の統一はやや毀れ、しまいには村に住みながらも祭はただ眺めるものと、考えるような気風をも養ったのである。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』2

 本邦初の辞典がここに誕生したんです。しかも日本語のあとに、すぐれた英訳がついているから便利です。便利なだけじゃ~ありません。日本語と英語における視覚文化へのアプローチが意外に異なっていることが浮彫りになり、おのずとわが国視覚文化の特質といった問題へ導かれることになります。この質...