2024年10月17日木曜日

サントリー美術館「英一蝶」4

 

あるいは、何か白日夢を見ているような感じにとらわれるといってもよいでしょう。一般的に風俗画であれば、あふれる躍動感を稱賛するものですから、静謐だなどと言えば、チョット島一蝶をおとしめているように聞こえるかもしれませんが、もちろんそうではありません。それどころか、静的なところに美的特質があり、魅力があるのです。たとえば岩佐又兵衛の舟木本「洛中洛外図屏風」と比べてみれば、よく理解されるのではないでしょうか。それじゃ~時代が違い過ぎるといわれるなら、菱川師宣を脇に置いてもよいでしょう。

艶やかな恋愛の世界に、表層を越えて深い情趣的共感を示した井原西鶴や本居宣長にならいたい気持になります。あるいは、「歓楽極まって哀情多し」と詠んだ漢の武帝を思い出します。これらの作品に対するとき、華やかさに潜むもののあわれや哀情に深く心を奪われます。もちろん一蝶が、それを表現しようとしたと考えることも不可能ではないでしょう。

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富士山世界遺産センター「日本三霊山の砂防」5

さらに「逢へらくは玉の緒しけや恋ふらくは富士の高嶺に降る雪なすも」というバージョンもあるそうです。つまり「あの子と逢う間の短さは玉の緒ほどにも及ばないのに、別れて恋しいことは、富士の高嶺に降る雪のように絶え間ないよ」となりますが、これじゃ~本展示とまったく関係なき一首になってしま...