2024年7月26日金曜日

東京国立博物館「神護寺」6

 

僕のいう日本美術の素性である素材主義を、ここにも見出すことが可能でしょう。これを伊勢神宮の白木建築まで引っ張っていけば、チョッとやりすぎかもしれませんが……。

しかし自然や風土まで持ち出してくれば、まったく無関係ともいえないでしょう( ´艸`) 霊木彫刻や立木仏に象徴されるごとく、素材と精神は表裏一体の関係に結ばれています。とくに自然崇拝やアニミズムが強い我が国では、当たり前田のクラッカーです(!?)

この神護寺薬師を語るとき、僕は以上の美意識と彫刻史と宗教の3点から考えてきました。内覧会では、この神護寺薬師のお顔を大きくクローズアップした260ページの大カタログを頂戴しました。その巻頭論文は、チーフキューレーターをつとめた古川摂一さんの「神護寺の歴史と高雄曼荼羅」という力作です。

テーマの中心はこれまた神護寺が誇る紺紙金銀泥絵「両界曼荼羅」、いわゆる「高雄曼荼羅」ですが、古川さんは薬師如来立像から説き起こしています。


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