この特別展を発展させて編集刊行された本書は、「鑑賞編」と「論考編」からなっています。前者は松竹梅をライトモチーフにした絵画工芸作品をカラー図版で紹介し、それぞれに解説を添えています。解説は簡にして要を得ており、しかも研究の成果がよく反映されていて、饒舌館長の独断と偏見とはわけが違います(笑)
後者は8人の研究者が松竹梅にまつわるテーマを設けて、それぞれ専門的な立場から論述を進めています。これまたすべて研究の成果ですが、脚注のついた論文と、もう少しやさしく書かれたコラムとに分かれています。
「僕の一点」は円山応挙の「木賊兎図」(静岡県立美術館蔵)ですね。メダマとも言うべき讃岐・金刀比羅宮の障壁画や国宝「雪松図屏風」 (三井記念美術館蔵) 、あるいは応挙と伊藤若冲の新出合作二曲一双「鯉鶏図屏風」を差し置いて、どうして「木賊兎図」なのか? 答えは簡単、30年前、僕...
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