もとは一巻の巻子装と考えられ、静嘉堂本以外にも18件が確認されているが、いずれも『和漢朗詠集』下巻の断簡であり、上軸と下軸の間に該当する。
本作の「太田切」という通称は、上軸巻末の跋文から、京都所司代をつとめた掛川藩主・太田資愛すけよし(1739~1805)が旧蔵したと考えられることに由来する。明治時代になり、上軸は田中光顕(1843~1939)、下軸は図案家・岸光景(1840~1922)が所蔵していたが、彌之助が入手したと考えられている。
人はだれしもこの幸福な島国で、春、とくに桜の季節を京都や東京で過ごすべきだ。その季節には、思い思いに着飾った人々が、手に手をたずさえ桜花が咲き乱れる上野公園をはじめ、すべての桜の名所に出掛けてゆく。彼らはその際、詩作にふけり、自然の美と景観を賛美する。……世界のどの土地で、桜の季...
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