辻惟雄さんが評伝「奇想の系譜――江戸のアヴァンギャルド」を『美術手帖』に連載したのは昭和43年(1968)、選ばれたのは岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、歌川国芳の5人でした。その2年後もう一人長沢芦雪が加えられ、蕭白描く奇妙な寄り目の墨龍が表紙を飾る『奇想の系譜』(美術出版社)が出版されたのでした。
僕はこの本がいかに革命的であったかを述べたあと、しかしそれは当時の日本社会の反映でもあったことを指摘し、つぎの文章を締めくくりにしたのです。
今回は奥村土牛の傑作「醍醐」がポスターのメインイメージに選ばれ、目玉にもなっているので、とくに土牛芸術に力を入れてしゃべりました。もちろん大好きな画家でもあるからです。 遅咲きの画家といわれる土牛は、一歩一歩着実に独自の土牛様式を創り上げていきました。人の真似できない真なる創造的...
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