2021年5月26日水曜日

辻惟雄『日本美術の歴史』と沢村忠9

 

いま私は『20世紀年表』(毎日新聞社)を引っ張り出し、昭和43年のページを開いて写真を眺めている。もちろん圧倒的に多いのは<政治的>イメージの方だが、それらに混じって、ピンキーとキラーズ、寺山修司、沢村忠、高倉健と藤純子、コント55号、永井豪『ハレンチ学園』、つげ義春『ねじ式』、橋本治「とめてくれるなおっかさん……」などの写真が目に入る。

それらは単に懐かしいだけではない。振り返ってみると、因習の破壊であり、新しい文化の誕生だったことが再確認される。『奇想の系譜』は、このような日本社会における大きな変化の潮流に棹差すようにして生まれ出たのだった。いや『奇想の系譜』は、その大きな変化を生み出すのに与って力あった、すぐれた知的結晶の一つだったという方が正しいであろう。

 ヤジ「なんだ、気をもたせておいて、たったそれだけのことか!!

いや、決してそれだけのことじゃ~ありません。沢村忠さんもプロレス中心のショー的格闘技に、革命を起こしたリヴォリューショナリー・アスリートだったと思います。いずれにせよ、評伝「奇想の系譜」が書かれたのは昭和43年、今年は昭和96年ですから、もう半世紀以上が経っているんです(⁉)

0 件のコメント:

コメントを投稿

サントリー美術館「絵金」8

  鎌倉幕府二代将軍、源頼家の時代。頼家の家臣・三浦之介義村と、北条時政の娘・時姫の悲恋と忠孝の葛藤を描く。二人は許婚であったが、将軍家と北条家の内乱によって家が敵同士となる。戦場に出ていた三浦之介は、病気の母・長門を心配し、時姫が長門を看病している家へ深手を負った状態で戻る。し...