次にこれもまた参考にされたと推定されてきた、同じく『江陵詩集』に載る七言律詩「中秋含虚亭の作」です。
青い葭葦[よしあし]その上に 白露[しらつゆ]降りる江戸の町
川面に靄が立ち込めて 揺れ動いてる月明り
夜目にも映える高殿は 仏を祭るお寺さん
簫[しょう]鼓[つづみ]の音秋風に 乗り家々に流れてく
涼しくなってこの世界 すべてがまるで水のよう
叢雲[むらくも]去った大空は 隈なき月光ほかになし
残暑も終りこの娑婆は 物寂しい世になったけど
そこにも悟りの道三つ あること論じるまでもなし
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