我々は更に、16~17世紀の中国における摺扇画の興隆と発展の後に、それらが発祥の地である日本へと「逆に伝わってゆく」現象を見る。すなわち一つの「相互に作用しあう」関係があるとわかり、東アジア文化イメージの形づくられる過程を理解できる。実に難しいけれども注意して観察するに値する問題であるといえよう。
このように石守謙さんは、人間の文化を相互影響としてとらえ、つとめて教条主義から距離を置こうとしています。僕もこうありたいと思いながら、実際はなかなかむずかしいことを白状しなければなりません。
続いて石守謙さんは、摺扇が中国で発展する過程において、山水画がもっとも重要な位置を占めていたことを見抜き、実証的考察を進めていきます。是非お読みいただきたいと存じますが、『國華』のオネダンを考えるとそう強くも言えず……(笑)
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