2020年1月4日土曜日

服部南郭の春の詩4


 つぎは七言絶句「梅花落 人を送る」です。梅が登場するといっても、「梅花落」ですから、新春じゃ~なく暮春の詩ですが、その哀感胸に迫るものがあります。ちょっと本場の漢詩から影響を受けすぎているような感じもしますが、「梅花落」は漢詩の伝統的スタイルである楽府題の一つですから、仕方ないのかもしれません。これは『南郭先生文集』2編巻5に載っているそうですが、まったく同じ形で家蔵する『南郭詩集』(寛政7年再刻版)の零本にも採られています。

  吹く春風に馬に乗り かなた万里の旅心
  散ってしまった梅の花 いま大江戸を発たんとす
  誰が吹くのか笛の音は 別れのつらさ知るごとく
  旅立つ人へのハナムケに 別離の曲を奏でてる

0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館「物、ものを呼ぶ」19

  もっともヤバイ !! と思ったのは、右隻の浅草寺参道あたりに描かれる三十三間堂の建築年代です。完成したのは寛永 20 年( 1643 )、家光の命を受けて 4 月に射初めの儀式が執り行われたというのです。 となると、この「江戸名所図屏風」が制作されたのは、寛永 20 年以...