2019年6月24日月曜日

金子啓明『古代一木彫像の謎』4


仏教という異国の宗教と神が入ってきたとき、そのイメージを作るために、日本の神のヨリシロであったクスノキという樹木を用いることは、ごく自然なことではないでしょうか? 

もう一つ考えられるのは、クスノキの原産地と関係する問題です。クスノキは東南アジアが主なる生育地です。ブラジルにもあるそうですが……。この東南アジアのクスノキが、中国に伝わったのでしょう。それはクスノキの漢字をみれば一目瞭然で、「楠」というのは、南からきた樹木という意味だとされています。

まえに言ったことと矛盾してしまいますが、この場合には、古代中国の南の地方では、クスノキで仏像を造った可能性が推定されるということになります。その習慣が我が国に伝えられたのではないでしょうか?

0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」7

今回は奥村土牛の傑作「醍醐」がポスターのメインイメージに選ばれ、目玉にもなっているので、とくに土牛芸術に力を入れてしゃべりました。もちろん大好きな画家でもあるからです。 遅咲きの画家といわれる土牛は、一歩一歩着実に独自の土牛様式を創り上げていきました。人の真似できない真なる創造的...