2017年12月18日月曜日

静嘉堂文庫美術館「あこがれの明清絵画」<書芸>3


張瑞図「秋景山水図」(韋応物「藍嶺精舎」)

 石壁の上に建ってる仏教寺院 雲をしのいでその上に出る

 いい旅路 初めて願いが実現し 険路を踏破 夢見た景色

 切り立った崖傾いて下暗く 小さく見えるはくねる渓流

 何となく緑の林もの寂びし 広い境内 そびえる楼閣

 お寺から僧侶がトボトボ下りてきて 深夜に独り帰って行きたり

 日は落ちて周りの峰々翳るとも 錦秋 多くの滝共鳴す

 「落ち込むなぁ!! 仕事も家庭もストレスで どうすりゃ長き安らぎを得ん?」

 *この作品には「日落羣峯陰 天秋百泉響」と書かれているだけですが、じつは中唐の詩人・韋応物の五言詩「藍嶺精舎」の中の二句なんです。孫望編『韋応物詩集繋年校箋』(中国古典文学基本叢書)によりながら戯訳をつけてみました。


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根津美術館「唐絵」6

また島田先生は、「題辞、題詩が単に画図をみた印象、感想を述べるだけでなく、画図の主題と密接な関連があって、 画図の十分な理解のためにはその詩文の解釈が欠かせないとか、題跋の加わることが予期されるというような条件をおくことが必要であろう」と指摘しています。 さらに島田先生は、詩画軸...