杉本さんにはホモサピエンスが絶滅に向って進化しているという、深い読みがあります。いや、深い諦観があります。杉本さんは「太陽系が生まれて45億年という時間を1年に例えると、人類の文明時代1万年は、除夜の鐘がなる頃だ。……我々の文明も悠久の時間軸の中で、淀みに浮かぶうたかただ。メソポタミアもギリシャも、結んでは消えていった」と冷徹に述べています。
江之浦測候所建設の備忘録ともいうべき『江之浦奇譚』(岩波書店 2020年)には、「私はエジプト古代王朝を想い、ローマ帝国やインカ帝国の滅亡をも想う時、近代文明も御破算で願うという選択肢もあり得るのかとも思う。しかし誰が選択するのだろう。それは『神の見えざる手』だと思えた時もあった。しかし、今、神は、神自らが、自らの手が見えないという、新しい局面に戸惑っている」とあります。もうこれは「ニーチェ」だといってもよいでしょう。この諦観を視覚化したのが絶滅写真なのではないでしょうか。

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