2025年12月4日木曜日

静嘉堂文庫美術館「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」4


  富士の裾野における曽我兄弟敵討ちを主題とする『曽我物語』の後日談ともいうべき内容です。これまた一種の復讐譚ですが、ここに登場するのが十郎された大磯の遊女・虎御前と、五郎思いをかけられた化粧坂けわいざかの遊女・少将で。その化粧坂から曽我の里へ至る二人の道行きが、この画題のもとになっているのです。
 

「世継曽我」のテキストには絵入り本があり、そのなかに道行の場面がありますとくに興味深いのは、早稲田大学図書館所蔵の山本九兵衛版『世継曽我』で、今や早大オープンデータベース(WINE)に全巻公開されています。じつに便利な世の中になったものです――旧世代の研究者には怒られてしまうかもしれませんが( ´艸`) 長春は先行する絵画作品とともに、この挿絵を参考にしたにちがいありません 

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静嘉堂文庫美術館「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」5

  この長春筆 「形見の駒図」は、「世継曽我」の虎御前と化粧坂の少将を、当世風の美人に移し変えて描いた見立て絵 ということになります 。 先の山本九兵衛版『世継曽我』の挿絵 も 当世風美人になっているのですが、 このような見立てが近松浄瑠璃の「世継曽我」においてすでに完成している...