土佐の絵師・金蔵は、幕末から明治初期にかけて数多くの芝居絵屏風や絵馬提灯、五月の節句の幟などを手掛け、「絵金さん」の愛称で、
地元高知で長年親しまれてきました。夏祭りの数日間、絵金の屏風を飾る風習は今でも変わらず、真夏の夜の闇の中、高知各所の神社 の境内や商店街の軒下に提灯や蝋燭の灯りで浮かび上がるおどろおどろしい芝居の場面は、見る者に鮮烈な印象を残しています。
「夏祭りに夕立が来たら、屏風より先に提灯を片付けた」と昔ばなしされるほど、絵金の屏風は生活に溶け込んだものでしたが、
二〇〇五年に高知県香南市赤岡町の「絵金蔵」が開設され、二〇一五年、香南市野市町にオープンした「創造広場『アクトランド』(現・
アクトミュージアム)」に「絵金派アートギャラリー」が設置されるなど、近年、絵金の画業を再評価し、作品を保存・研究・展示する
環境が整ってきました。
0 件のコメント:
コメントを投稿