2025年6月29日日曜日

6月の詩7

 

  口では理屈を滔々とうとうと こねるがすべて受け売りで

  たった一つの経典を 後生大事にあくせくと……

  四角と丸い器では もともとならないワンセット

  世間の奴らの毀誉褒貶きよほうへん かまびすしいこと限りなし

  ある日 厳しい譴責けんせきを 喰らうことなど予期できず

蟄居ちっきょは南の荒地だが その場所さえも知らされず

南国地方の水無月は 溽暑じょくしょ蒸暑じょうしょの日々多し

ひねもすボンヤリ飲んだ気分――とはいえ不快な二日酔い

人を頼って紀ノ川へ 決まるも家は決まらずに

古典書かかえて山間の 田んぼをみずから耕した


0 件のコメント:

コメントを投稿

鎌倉国宝館「扇影衣香」9

  先日、 鏑木清方記念美術館の「あの人に会える! 清方の代表作<築地明石町>三部作」展で井手誠之輔 さん にお会いしたことをアップしました。その井手さんが、この「扇影衣香」展カタログに、「総論 絵から見た鎌倉の美術と東アジア世界――人と仏――」という巻頭論文を寄稿しています。 ...