2024年11月28日木曜日

出光美術館「トプカプ・出光競演展」7

オスマン2世像も義尚像も、人物や馬にまったく陰影が施されていないのに、チャンと立体表現になっているところもよく似ています。ここで以前アップした写実性の強い李公麟筆「五馬図巻」を思い出してみると、狩野正信は李公麟からも影響を受けていたにちがいないのに、装飾性の点で、むしろ遠いトルコのナクシーに似ているのが不思議です。

それはともかく、オスマン2世像と義尚像では決定的に違う点があります。オスマン2世像には地面が描かれ、デザイン化された金色の雲が加えられているのに対し、義尚像では何も描かれず余白になっている点です。

 ヨーロッパに近いトルコと、極東日本の空間感覚の違いなのでしょうか? あるいは義尚像の方が133年早く描かれていますから、時代の差なのでしょうか? いや、たまたまそうなっているだけで、理由などとくにないのでしょうか? 

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