2024年7月17日水曜日

サントリー美術館「尾張徳川家の至宝」6

内覧会出席者に配られた立派なカタログによると、「箏 銘・青海波」は桃山時代から江戸時代にかけてのころ、17世紀に制作された作品だそうです。超絶技巧に近い精緻な装飾が見所となっていますが、僕はフォルムのシンプルな美しさにまず惹かれました。そこには13本の弦が張ってありましたが、これが伝統的なわが国における箏の弦数で、現在も守られているそうです。

僕はこの点にもっとも強い興味を覚えました。というのは、『新潮世界美術辞典』に次のごとく書かれているからです。

漢代には12弦で、画像石に演奏するさまがみえる。のち唐代には13弦、明清時代には16弦、現在では21弦を基準とし、25弦も用いる。……日本には奈良時代に唐代の十三弦箏が伝わり、「そうのこと」と呼ばれ、後代に「こと」として発達した。

『中国音楽詞典』(人民音楽出版社 1985年)には、もっと詳しく書かれているようなので、そのうち見てみたいと思いますが……。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』2

 本邦初の辞典がここに誕生したんです。しかも日本語のあとに、すぐれた英訳がついているから便利です。便利なだけじゃ~ありません。日本語と英語における視覚文化へのアプローチが意外に異なっていることが浮彫りになり、おのずとわが国視覚文化の特質といった問題へ導かれることになります。この質...