内覧会出席者に配られた立派なカタログによると、「箏 銘・青海波」は桃山時代から江戸時代にかけてのころ、17世紀に制作された作品だそうです。超絶技巧に近い精緻な装飾が見所となっていますが、僕はフォルムのシンプルな美しさにまず惹かれました。そこには13本の弦が張ってありましたが、これが伝統的なわが国における箏の弦数で、現在も守られているそうです。
僕はこの点にもっとも強い興味を覚えました。というのは、『新潮世界美術辞典』に次のごとく書かれているからです。
漢代には12弦で、画像石に演奏するさまがみえる。のち唐代には13弦、明清時代には16弦、現在では21弦を基準とし、25弦も用いる。……日本には奈良時代に唐代の十三弦箏が伝わり、「そうのこと」と呼ばれ、後代に「こと」として発達した。
『中国音楽詞典』(人民音楽出版社 1985年)には、もっと詳しく書かれているようなので、そのうち見てみたいと思いますが……。
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