2024年7月6日土曜日

追悼 舟越桂さん3

このすぐ後に人間の野生のことを思いライオンをイメージした顔の男性像を作った。これが、その後、男性器を思わせる、角を持った人物像を経てスフィンクスへつながって行ったのかもしれない。人間を見つづける存在としてのスフィンクスへ。

言うまでもなくスフィンクスは、ライオンの体に人間の頭部を有する怪獣、古代エジプトにおける王権の象徴でした。これにインスピレーションを得た舟越は、長く垂れた耳をもつ両性具有の人間像として、あるいは中性的な人間像として造形化したのです。

舟越といえば、モジリアーニの人物画のように長い首の上にのった小さめの端正な顔がまず思い出されます。左右の目の焦点が微妙にずれていて、正面からいくら一生懸命見ても絶対に視線を合わせてくれず、どこか虚空を眺めているような、あるいは遠い未来を夢見ているようなアンニュイをたたえた独特な顔です。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」7

今回は奥村土牛の傑作「醍醐」がポスターのメインイメージに選ばれ、目玉にもなっているので、とくに土牛芸術に力を入れてしゃべりました。もちろん大好きな画家でもあるからです。 遅咲きの画家といわれる土牛は、一歩一歩着実に独自の土牛様式を創り上げていきました。人の真似できない真なる創造的...