2024年5月24日金曜日

世田谷美術館「民藝」9

 

柳不朽の名著『美の法門』のもとになる講演を行なったのは、昭和23年(1948114日のことでした。京都・相国寺で開かれた第2回日本民藝協会全国協議会においてです。それは『大無量寿経』を読んでいたとき得た霊感に発する思想であり、「信美一如の霊界の門が機熟して宗悦の前に開かれた」哲学でした。これから昭和3653日、72歳で幽明界を異にするまでが、美の法門時代です。美と宗教の関係が徹底的に考察された時代です。

美と宗教――この関係はまるでヌエのごとくとらえ所がなく、いかようにも論じることができます。下手をすると唯我独尊的解釈になり、あるいはトートロジーに陥る危険性に満ちています。少なくとも僕にとっては、そう感じられる有名な論考がありました。いや、僕の近世美術法華論がまさにそれだったかな()


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