2024年5月25日土曜日

世田谷美術館「民藝」10

 

しかし『美の法門』には、確かな論理性と力強さ内包されています。多くの人に感銘を与えて止むことがないユエンですが、その根底に民藝があったからにほかなりません。これも「もの」が有する力のお陰だったのでしょう。

同じくもの(作品)を中核として美と宗教の問題を論じた思想家に、岡倉天心と和辻哲郎がいました。しかし柳のすごさは、「民藝」なる民衆芸術を発見するという革命を起こしながら、天心や和辻のアプリオリに存在した伝統的美的世界と覇を競い合ったことでした。

少なくとも現代への影響に限れば、天心や和辻を凌駕しているように感じられます。この特別展のタイトルにあるように、いまや民藝はMINGEIという国際語になっているのですから……。


0 件のコメント:

コメントを投稿

河治和香『どぜう大明神 昔ばなし』2

この河治さんには『どぜう屋助七』という著書もあります。それが縁となり、編集してまとめた老舗「駒形どぜう」の歴史物語、題して『昭和のおもかげ 駒形どぜう五代目渡辺繁三 庶民的コレクション<創業 222 年記念> どぜう大明神 昔ばなし』がようやく完成したので、その駒形どぜうで一杯や...