僕は本図に賛された玉堂詩の最初を、さかしらに「深室蕭然」と読みました。しかしすでに「窟室蕭然図」で流布していますし、それも悪くないと思ったのでそのままにしました。その玉堂詩のマイ戯訳は……。
奥まった家ものさびて 絶えて聞こえず外の音
調弦しながら客を待つ 陰翳礼賛いんえいらいさん――そんな気分
仲秋の月 照らす山 鳥も驚く明るさで
葉擦れの音に人語なく 琴の音ね 夜半よわに冴えわたる
素焼きの猪口にマツヤニで 醸かもした酒は辛口で
螺鈿らでんの琴節きんせつ竹のネジ もちろん馴染んできたものだ
嘆いちゃならない 世の中に 仲のよい友 少なきを
好悪こうおが強いもともとの 我が性格のゆえだから
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