2022年4月18日月曜日

山種美術館「上村松園・松篁」3

 

「牡丹雪」の翌年出版された自伝ともいうべき『青眉抄』において、松園は次のように語っているからです。

母と私の二人きりの生活になると、母はなお一そうの働きぶりをみせて、

 「お前は家のことをせいでもよい。一生懸命に絵をかきなされや」

 言ってくれ、私が懸命になって絵をかいているのをみて、心ひそかにたのしんられたである。私は母のおかげで、生の苦労を感じずに絵を生命と杖とて、それと闘えたのであった。私を生んだ母は、私の芸術までも生んでくれたのである。 それで私は母のそばにさえおれば、ほかに何が無くとも幸福であった旅行も出来な泊まりがけの行など母を残してとても出来なかったのである

0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」7

今回は奥村土牛の傑作「醍醐」がポスターのメインイメージに選ばれ、目玉にもなっているので、とくに土牛芸術に力を入れてしゃべりました。もちろん大好きな画家でもあるからです。 遅咲きの画家といわれる土牛は、一歩一歩着実に独自の土牛様式を創り上げていきました。人の真似できない真なる創造的...