2021年7月31日土曜日

徐寅・夏の詩8

 

徐寅「新月」

 雲居の際[きわ]にあでやかに 出たかと思うとまた隠れ

 腸 断つ思いで美しき 女[おみな]が西を拝んでる

 姮娥[こうが]一人が眉墨[まゆずみ]を 先ず掃くことを許されて

 三人もいる織姫の 曇った鏡は磨かれず

 玉のすだれが吊り鉤[かぎ]で 靄[もや]暗いなか掛けてあり

 青い大空 白龍が 鋭い爪あと残してる

 あと十五日待ってれば 円[まる]く明るい満月が

 龍と天下を照らすだろう 黄砂で空が暗くても……

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