2021年5月19日水曜日

辻惟雄『日本美術の歴史』と沢村忠2

 

『日本美術の歴史』は空前にして絶後なる日本美術史本として、出版と同時に話題を集め人気となりました。お堅い本が多い東京大学出版会にあっては、ベストセラーになったのではないでしょうか。あの『奇想の系譜』を著わした辻惟雄さんの、<奇想>ではない本というもの理由の一つでしょう。

もちろん僕もすぐ拝読しましたが、「さすが辻さんはすごいなぁ、これは誰にも書けないなぁ、もちろん俺には書こうと思っても書けないなぁ」というのが、率直な読後感でした。

だからこそ、本書の翻訳版が間もなく出ることになったのでしょう。あとがきの「補訂版の刊行に際して」によると、「饒舌館長」にも登場してもらっているニコル・ルマニエルさんの熱意により、2018年、東京大学出版会から英語版が出版され、翌年、コロンビア大学出版部よりペーパーバックの普及版が実現したそうです。

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