2021年4月27日火曜日

府中市美術館「与謝蕪村」6

目立ちすぎる金砂子はあとから蒔いたのかもしれません。もともと襖絵だったものを屏風に改装したのかなと思い、引き手跡を隠すため蒔いた可能性を考えながらよく見ましたが、目視だけでは確認できませんでした。右隻右上に、劉原甫の七言絶句が書かれています。またまたマイ戯訳で紹介しましょう。

 生い茂ってる春の草 その名前など知らないが

 水辺の原に美しく 咲き乱れてる花たちよ!!

 花の絨毯 踏んづける ことなど車馬はやらぬから……

 いっぽう城門内に入りゃ 草一本さえ生えてない

 出典は蕪村が愛用した漢詩アンソロジー『聯珠詩格』にちがいないと思い、マイ弘化版で調べると巻之下に載っていました。劉原甫は中国・北宋の詩人、愛用する『中国学芸大事典』には「劉敞」で出ています。 

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』2

 本邦初の辞典がここに誕生したんです。しかも日本語のあとに、すぐれた英訳がついているから便利です。便利なだけじゃ~ありません。日本語と英語における視覚文化へのアプローチが意外に異なっていることが浮彫りになり、おのずとわが国視覚文化の特質といった問題へ導かれることになります。この質...