「僕の一点」は、筆者不詳の版画「死絵 八代目市川団十郎」ですね。8代目団十郎の肖像掛幅画の周りで、たくさんの女性が悲嘆にくれ、あるいは泣きくずれています。肖像の両脇に次のような款記と賛が見えます。
嘉永七甲寅年八月六日 猿白院清日田信士 行年三十二才
辞世 うしろ不二難波に残す旅の空
女猫まで袖になみだをふく牡丹 なくやひさごのつるの林に 梅屋
先に絵金の歌舞伎絵フォーヴィスムは、幕末歌舞伎の反映でもあると書きました。では幕末歌舞伎には、どのような特徴があったのでしょうか? 愛用している『歌舞伎事典』(平凡社 1983 年)の「総説」を担当された服部幸雄先生は、「化政期の歌舞伎」と題してつぎのようにお書きになって...
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